【症状と経過】
今年の1月から特に思い当たる原因なく首の両側に痛みを感じるようになった。時間がたつにつれて痛みがだんだんと下に降りてきて、今では左の肩から上腕・前腕までしびれて痛むようになり、左腕に力が入りずらくなっている。胸や肩、上腕の筋肉が頻繁にピクピクと痙攣し、痛みとしびれで夜なかなか眠れない。接骨院に通っていたが、症状は改善しなかった。本人は「四十肩」だと思っていたが、肩関節の可動域は正常であった。頚部の側屈と回旋で違和感が生じ、後屈すると痛みとしびれが強くなる。
【既往歴】
特になし
いわゆる「四十肩」「五十肩」であれば、肩の関節を動かしたときに痛みや動きの制限が出る。しかし、実際に肩を動かしてもらったところ異常は見られなかった。触診したところ頚椎の7番に強い圧痛があり、頚部から左の肩背部にかけて筋緊張が強く出ていた。まず活法で肩背部の緊張を緩和し、その後左のふくらはぎにあるツボに鍼をした。症状は来院時10→5となり、初回はここで終了。 2診目、「就寝時の痛みが無くなり、よく眠れるようになった」とのこと。首の可動域も大幅に改善しているが、可動域いっぱいまで動かすと肩に痛みとしびれが出現する。前回あった頚椎7番付近の圧痛はなくなり、頚椎4番の外側に圧痛が出ていた。頚部の可動域を広げる活法を行い、頚椎4番の外側に鍼をした。これで治療を終えようとしたところ、「仕事で車を運転しているときも左肩がだるくなってくる。」と言われたので、左足の付け根に活法を行い、さらに肩上部の緊張をゆるめた。これで症状は初診時10→2となり、首の可動域はほぼ正常に戻ったので治療を終了し、しばらく様子を見ることにした。
玉天(左)、頚椎4番付近(左)
来院時の訴えは「左肩が痛い」ということであったが、痛みの原因は肩ではなく頚部であった。また、殿部(足の付け根)をゆるめることでさら症状が改善したことから、頚肩部の筋緊張は腰殿部とも関係があることが示唆された症例。
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当治療室の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。
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