【症状と経過】 以前から続いていた左腕を上げた時の肩の痛みが昨年暮れくらいから強くなってきた。ひどい時は夜痛みでなかなか寝付けないこともある。腕は頭の方まで上がることはあがるが、上げる途中で強い痛みが出る。仕事が忙しいこともあり、「そのうちに治るだろう」と特に治療をせずに放置していたが、症状が強くなってきたので同業の友人に相談したところ当治療室を紹介され来院した。
【既往歴】 特になし。
動作を確認したところ、肘を曲げた状態(90°位)で左腕を横から上げていくと60°~90°で肩の外側から後ろ側にかけて痛みが出現する。同じように肘を曲げた状態で左腕を前から上げた時も同じ場所に痛みが出るが、横から上げた時ほどではない。肘を伸ばした状態では、腕を横から上げても前から上げてもあまり痛まない。 左殿部の外側を圧迫しながら左腕を横から上げてもらったところ、痛みが軽減し動きがスムーズになったので、まずこのツボに鍼をした。もう一度同じ動きをしてもらうと、60°~90°での痛みが消失していた。今度は肩の上の真ん中あたりがつまった感じがして痛むとのことなので、その場所に対応する殿部のツボに鍼をすると、つまり感がとれて0°~180°までスムーズに肩が回るようになった。さらに念のため肩甲骨の周りを触診すると、内上角付近に強い圧痛とコリがあったので、手にあるツボに鍼を追加した。この時点で来院時の症状を10とすると1~2まで減ったとのことだったので、施術を終了とした。
地天(L) 大殿(L) 合谷(L)
年齢的にいわゆる五十肩(肩関節周囲炎)を想定したが、肩関節の可動域に制限がないことや、力仕事をすることが多いことなどから五十肩ではなく、筋肉の過緊張が動作を制限し痛みを生じていると考えて施術した。仕事で重いものを持つことが多く、肩から腰殿部に負担がかかり、また力いっぱいボルトを締める等の手作業も多いため、手掌部から前腕にかけての筋緊張も非常に強くなっていた。痛みが生じていたのは肩であるが、日常の動作から痛みの原因を探り出し、腰殿部や手のツボを選択することで、患部に直接鍼をすることなく症状を軽減することが出来た。
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当治療室の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。
Copyright © Copyright © 治療室そら All Rights Reserved.