来室4日前にレジャーで船に乗り、長い時間左足に体重をかけ続けていた。船を降りて、荷物を車に積もうとした時に左の腰が「ピキッ」となり、強い痛みが出始めた。帰宅後、痛みをこらえながら後片付けをしたことで、さらに痛みが激しくなった。
あまりにも痛みが激しいので、「ヘルニアではないか」と考えて整形外科を受診した。レントゲンを撮ったが医師からは「腰椎椎間板ヘルニアではない」といわれ、消炎鎮痛剤と筋弛緩剤を処方された。薬を服用しているが、症状はあまり変わらず、立ち上がると痛みが非常に強く耐え難いので、会社を休んでいる。
いつまでも仕事を休んでいるわけにいかず、何とかしなければと思いインターネットで検索し、当治療室のホームページを見つけ来室した。
立位をとると、左の仙腸関節付近に激しい痛みが生じる。また、立った状態で左足を上げると膝の前面から前脛骨筋にかけて強い痛みが出た。体幹後屈と左への側屈でも症状が強くなった。 長時間左下肢に体重をかけていたことで、大腿部と下腿の前面の筋肉が過度に緊張してしまったことが痛みの原因と考えた。 触診すると、左下肢前面以外にも左殿部に強い筋緊張が見つかったので、まずそこに鍼をした。立位は楽になったが、膝をあげるのと体幹後屈はまだ痛みが残った。さらに下腿前面外側にあるツボに鍼を2本打ったところ、膝上げ、後屈とも大幅に可動域が広がり、来室時の痛みが3割ほどまでに減ったとのことだったので施術を終了した。
豊隆(L)、足三里(L)
長時間左下肢に負荷をかけ続けたことで、下肢の筋緊張が強くなり、それが腰殿部の痛みの原因となっていた。最も痛みが強かった左の仙腸関節には直接鍼をせず、原因と思われる下腿の緊張にアプローチしたことが早期の症状緩和につながった。痛む場所に目を向けることも大切だが、なぜそこが痛くなったのかという原因を慎重に探ることも重要なことである。
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当治療室の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。
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